※本記事にはアフィリエイトリンクが含まれています。
書誌情報
・タイトル:『知能とはなにか ヒトとAIのあいだ』
・著者:田口善弘
・出版社:講談社
・レーベル:講談社現代新書
・発売日:2025/1/23
・定価:920円+税
・ページ数:208頁目次
第0章 生成AI狂騒曲
第1章 過去の知能研究
第2章 深層学習から生成AIへ
第3章 脳の機能としての「知能」
第4章 ニューロンの集合体としての脳
第5章 世界のシミュレーターとしての脳
第6章 なぜ人間の脳は少ないサンプルで学習できるのか?
第7章 古典力学はまがい物
第8章 知能研究の今後
第9章 非線形系非平衡多自由度系へ
第10章 余談:ロボットとAI
あとがき
感想
この2,3年は世の中のどこを見渡してもAI、特に生成AIに関する話題で話題であふれています。
「近い将来、AIが知能を持ち人類に反旗を翻すかもしれない」「今からAIを活用しなければ時代に取り残される」など、センセーショナルな言説も多く目にするようになりました。
正直なところ、こういった言説には違和感を抱いていました。
そんな中で手に取ったのがこの本です。
著者が以前お書きになった『砂時計の七不思議』が非常におもしろかったこともあり、期待を持って読み進めましたが、その期待に十二分に答えてくれる良書でした。
本書は「知能とはなにか」という根本的な問いを考えながら、現在の生成AIが一体どういうものであるのか、人間の知能とは異なるのかなどを考察した本です。
読んでみると、現在のAIがまだまだ不確かで、限られた枠組みの中で動いていることがわかりました。
また冒頭に挙げたようなAIに対する過剰な期待や不安も、決して根拠のあるものではないなと感じました。
やはりAIだけに囚われず、大きく科学全体の文脈から考えていくことが大切なのですね。
とはいえ、AIがこれからも社会に少なからず影響を与えていくことは間違いないでしょう。
だからこそ、本書は一般の方がAIについて知識を深め、冷静に向き合うための一冊としておすすめできる本です。