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『大画家ティツィアーノの歴史物語 パトロンは宮廷だった』

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書誌情報

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・タイトル:『大画家ティツィアーノの歴史物語 パトロンは宮廷だった』
・著者:西川和子
・出版社:彩流社
・発売日:2025/6/24
・定価:3000円+税
・ページ数:264大画家ティツィアーノの歴史物語頁

目次

はじめに
第1章 ヴェネツィアー公認画家に―
第2章 フェッラーラー依頼は神話画だった―
第3章 マントヴァー犬と並ぶ公爵―
第4章 ウルビーノー大ヒット「宮廷人」―
第5章 ローマ教皇―抜け目ない眼差し―
第6章 カール五世と狩猟犬―ティツィアーノと出会う―
第7章 カール五世に捧げる絵―隠遁は絵とともに―
第8章 マリア・デ・ハンガリーー地獄に堕ちた者たち―
第9章 フェリペ二世とポエジアーポエジアとは―
第10章 フェリペ二世―政治・宗教―
第11章 ティツィアーノ こぼれ話

感想

本書は、ルネサンス期ヴェネツィア派を代表する画家・ティツィアーノの評伝です。

ティツィアーノは、豊かな色彩表現によって宗教画、神話画、肖像画など幅広いジャンルで傑作を残しました。

後世の画家たちに大きな影響を与え、神聖ローマ皇帝カール5世やフェリペ2世と密接な関係でもありました。

本書ではティツィアーノ自身の生涯も描かれますが、そのパトロンとなった各国の宮廷のことも詳しく語られます。

ティツィアーノの生きた15世紀末から16世紀のイタリアは五大国に加え、たくさんの都市国家で構成されていました。

なかなか五大国以外の宮廷のことは知らなかったのですが、本書のおかげでいろいろ知ることができました。

ティツィアーノというと私は「ウルビーノのヴィーナス」が一番に出てきますが、実はカール五世やフェリペ二世の肖像画の多くはティツィアーノが描いているのですね。

どの絵も歴史書にでてくるなじみのあるものばかりでした。

本書で印象に残ったのは、ミケランジェロがティツィアーノの絵を見て、いい絵だけどもっとデッサンを学べば良くなるのにと言ったという話でした。

「天才、天才を知る」という感じで胸が熱くなります。

ルネサンスというと三大巨匠の話題が中心になることが多いですが、本書を読むとそれとは別のルネサンスがあったことがわかります。

とても読みやすく、ティツィアーノの概要を知るには最適な本です。

オールドマスターに興味のある人だけでなく、16世紀イタリア史に興味のある方にもおすすめです。

あと一冊

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ポイント

ティツィアーノを深く重用したカール五世の評伝です。当時のヨーロッパの多くを支配しました。宗教改革やオスマン帝国、フランスと戦い続け、ハプスブルク帝国の最盛期を担った皇帝とはどのような人物だったのでしょうか?

  • この記事を書いた人

yutoya

書肆北極点店主。本を紹介する人。本が好きです。一冊読んだら十冊読みたくなる、本がつながっていく感じも好きです。

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