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ECや郊外型大型店が日常の買い物を支える一方、人口減少や高齢化、地域での孤立が進む現在、身近な商店街の役割が改めて注目されています。
商店街は商品を売る場所であるだけでなく、歩いて立ち寄り、人と人が緩やかにつながる生活基盤でもあります。
『商店街の復権』は、かつての賑わいを懐かしむのではなく、商店街を地域の「コモンズ」として捉え直し、交通政策や空き店舗の活用、各地の実践から、人口減少時代のまちと小売の新しい姿を考えます。
書誌情報
・タイトル:『商店街の復権 歩いて楽しめるコミュニティ空間』
・著者:広井良典(編)
・出版社:筑摩書房
・レーベル:ちくま新書
・発売日:2024/2/8
・ページ数:386頁目次
はじめに
1 商店街の復権―コモンズとしての中心市街地再生に向けて
2 成長局面からみた商店街再生の実践ステップ
3 エリアリノベーションと商店街の可能性
4 コミュニティ的空間としての商店街
5 商店街復権への取り組み
6 中心市街地再生と交通まちづくり政策
7 シャッター通りと耕作放棄地―未利用ストックの活用と効果
8 各地の事例からの示唆と展望
感想
題名からは、商業振興の本に見えますが、実際の射程は広く、中心市街地、公共交通、孤独や地域のつながり、空き店舗、事業継承などを扱っています。
商店街は地域のコモンズだった
私はこれまで、商店街を複数の店が集まった商業施設として捉えていました。
しかし本書を読み、その見方がそもそも狭かったことに気づきました。
商店街は昔から、商品を売買するだけでなく、店主と客が言葉を交わし、人々が歩き、立ち止まり、地域との関係を育てる場でもありました。
つまり、最初から商店街は商業空間であると同時に、地域の人々が共有するコモンズとしての性格を備えていました。
コモンズとしての商店街には、大きな可能性があることが本書から伝わってきました。
日欧の中心市街地を分けたもの
ヨーロッパでは、地方都市の中心部が歩いて楽しめる空間として生き続けている一方、日本では多くの中心市街地がシャッター商店街になっています。
この違いには、個々の店の努力だけでなく、自動車中心の都市づくりや郊外化、公共交通、大型店を巡る政策が関係していることが本書で明らかになります。
商店街の衰退を時代の必然として片づけず、どのような都市を選んできた結果なのかを考える必要があると感じました。
実践が示す商店街再生の可能性
本書の中で見事だと感じたのが、第3章のエリアリノベーションです。
地域を丁寧に調べ、可能性のある商店街に複数の店舗を一斉に開き、人が集まる拠点をつくる。
そこから新しいつながりやコミュニティを育てていく方法には、理念にとどまらない具体性があります。
日本には現在も多くのシャッター商店街がありますが、本書には再生に向けた明確な理論と方向性があります。
それは、かつて繫栄した商店街をそのまま取り戻すことではなく、商店街を歩いて利用できる地域の「コモンズ」として再設計することです。
それを実践へ移せれば、商店街には大きな可能性があるでしょう。
もちろん、実践に移すこと、それ自体が最大の難関であることも確かです。
それでも各地で多くの人が挑戦し、新しい商店街の姿をつくってほしいと思いました。
懐古的ではなく実践的な本書が、その人たちの力となることを願っています。
おすすめの人
・商店街や中心市街地の再生に関心がある人
・ウォーカブルなまちづくりや地域コミュニティを学びたい人
・空き店舗を活用した起業や地域再生に携わる人
あと一冊
本書は3冊シリーズ「小売の今を知る3冊」の1冊に選ばれています。そちらの記事を見るには以下のリンクから↓↓↓
