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『レストランビジネス』

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書誌情報

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・タイトル:『レストランビジネス 美食家から業界関係者まで楽しく読めるレストランの教養』
・著者:東龍
・出版社:クロスメディア・パブリッシング
・発売日:2025/6/27
・ページ数:288頁

目次

はじめに 人々がレストランを訪れる理由
第1章 フランス革命から学ぶレストランの歴史の世界
第2章 仕入れから学ぶ高級食材の世界
第3章 利益構造から学ぶレストラン経営の世界
第4章 人間関係から学ぶシェフとソムリエの世界
第5章 椅子やテーブルから学ぶ空間デザインの世界
第6章 各国のレストランから学ぶ多様な食文化の世界
第7章 『ミシュランガイド』から学ぶマーケティングの世界
第8章 テクノロジーから学ぶスマートレストランの世界
第9章 グローカルな視点から学ぶ未来のレストランの世界
おわりに
完全保存版レストラン年表
参考文献
読者特典 一生に一度は行きたいレストランの名店50

感想

この本は面白かったです。

レストランビジネスの世界のことがかなり詳しく細かいところまで書かれていて、驚くことばかりでした。

本書はグルメジャーナリストである著者による、レストランの世界をビジネスの観点から紹介した書となります。

一口にレストランといっても色々ありますが、本書で取り扱われるのは、「最も高価なディナーレストランで、いわゆる高級レストランと形容される飲食店(p5より)」です。

私にはなかなか縁のない世界ですが、その分興味深く読めました。

各章はレストランの歴史から始まり、仕入れ、利益構造、人間関係、空間デザイン、各国、マーケティング、テクノロジー、グローカルと多彩な内容を扱っています。

その中には面白いが話題がたくさんありました。

高級食材の仕入れ価格や、「利益が出るメニューの組み方」や、ドタキャンの損害額の話はレストラン経営の苦労が垣間見えて面白かったです。

特にドタキャンの話はこんなに被害が深刻だとは知りませんでした。

客側のドタキャンの理由もなかなかひどいものですね。

利用する側は、「飲食店の予約は契約である」という意識を持ちたいものですね。

また第4章の「人間関係から学ぶシェフとソムリエの世界」では、レストランの世界でのキャリアパスが語られていますが、こちらも外から見ているだけではわからなく、興味をひかれました。

さらにマーケティングの章も知らないことばかりでした。

SNS時代にはレストランも例に漏れずさまざまなウェブマーケティングを行っています。

その中で面白かったのはインフルエンサーの実情の節です。

なかなか表に出てこないお金の話などもあって読み応えがありました。

このようにとても充実した内容の書となっております。

ついついお金やドタキャンの話題などゲスいことばかり取り上げてしまいましたが、本書を読むとレストランを経営する人や料理人、そこで働く人々は真摯に食と客に向き合っているということがよくわかりました。

本書は、レストラン業界に関わる人々にとっては手軽にレストランビジネスの全体像を見渡せる一冊であると同時に、一般の読者にとっても「レストランで食事する」という日常的な体験の裏にある膨大な工夫と努力を理解させてくれる本でもあります。

外食という行為が、いかに多くの人の手と知恵と思いによって支えられているのかを知ることで、レストランに足を運ぶ際の見方が大きく変わるでしょう。

高級レストランの世界を入り口に、食のビジネスを多角的に学べる書として、価値のある一冊です。

あと一冊

ポイント

ガストロノミーの本場、フランスでいかに美食術が発展してきたか、文学や芸術を手掛かりに現代の豊かな食文化に至る歴史を広い視野で描き出します。話題が多彩で読んでいてあきない本です。

  • この記事を書いた人

yutoya

書肆北極点店主。本を紹介する人。本が好きです。一冊読んだら十冊読みたくなる、本がつながっていく感じも好きです。

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