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書誌情報
・タイトル:『ニッポン珍供養』
・著者:鵜飼秀徳
・出版社:集英社インターナショナル
・レーベル:インターナショナル新書
・発売日:2025/6/6
・定価:920円+税
・ページ数:256頁目次
はじめに
第一章 奇妙なモノ供養
第二章 動物を供養する
第三章 魚を供養する
第四章 昆虫を供養する
第五章 草木の供養
おわりに
感想
日本に存在する様々な供養を紹介した一冊です。
その種類の多さに度肝を抜かれました。
魚やシロアリ、実験動物、人形、墓石といった供養は知っていましたが、猫やバッタ、スマホ、さらには迷子郵便にまで供養があるとは、思いもしませんでした。
でもそれぞれの供養塔や慰霊碑の建立の背景を知ると、どれも意味があり、必要とされて作られたものなのだなと思います。
なかでも印象に残ったのは日食供養塔で、東京都奥多摩町にあります。
これは1799年に建立された供養塔ですが、その少し前の十数年間で何度か日食が起こっていたそうです。
当時、人々の間には「日食は太陽が人々の代わりに災厄を引き受けてくれている」、という観念がありました。
そのため、犠牲になってくれた太陽を供養するという発想になったようです。
「日食供養塔を生んだ背景に、当地の豊かな精神文化があったことを言い添えておかねばなるまい」(p.55)という言葉が深く印象に残りました。
この多種多様な供養は豊かな精神文化の産物なんですね。
ぜひこの本を読んで「ニッポンの珍供養」の世界に触れてみてください。