文化史 書籍

『明治・大正・昭和の変な広告 懐かしくて楽しい、時代を映したメディア!!』

2025年8月18日

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書誌情報

・タイトル:『明治・大正・昭和の変な広告 懐かしくて楽しい、時代を映したメディア!!』
・著者:福田智弘
・出版社:河出書房新社
・発売日:2025/3/27
・定価:2000円+税
・ページ数:160頁

目次

文化をつくった数々の広告
第1章 目にとまるナイスなイラストや写真
第2章 時代を越えて響くおもしろコピー
第3章 今じゃありえない時代を感じる名品&広告
第4章 心意気を感じる大胆デザイン&コピー
おわりに

感想

明治時代から戦中期までの様々な「変わった」広告を集めた本です。

薬からワイン、保険まで幅広い分野の広告が紹介されています。

現代の目で見ると思わず笑ってしまうような奇抜な表現や不思議なデザインの広告たちですが、当の作り手たちは商品が売れるように一生懸命工夫して制作しているわけです。

その熱意がまた何とも言えないユーモアを生み出しています。

かわいいイラストを使った広告も多いです。

なんで古い時代のイラストというのはあんなに味があるんでしょうか。

ビールや美容、家庭薬、保険などは現代でも広告が盛んで、当時もあまり変わらないようで興味深かったです。

特に印象に残ったのは、男性用化粧品の広告です。

当時から売り手は男性市場に注目していたということが分かって、やはり時代が違ってもマーケティングの着目するところは一緒なのだなと思いました。

現代の感覚では「アウト」とされるような広告もありました。

広告というメディアにはその時代の価値観や空気感が反映されるものです。

本書にはまさにその時代の空気が色濃く反映されています。

一番わかりやすいのは戦時中の時代で、表現に注意していたり、商品のおすすめ理由が戦争に関係したものになっていて戦時中であることが感じられます。

そんな時代も広告はたくましく生き抜いていたのですね。

現代の感覚では考えられない広告たちは見ていて飽きません。

レトロなものが好きな方、広告に興味がある方はぜひ読んでみてください。

あと一冊

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ポイント

この時代の変なものというとこの人を思い出しました。宮武外骨(1867~1955)は、明治から昭和にかけて活躍したジャーナリスト・風俗史家で、権力や社会の偽善を風刺する筆鋒で知られ、『滑稽新聞』『頓智協会』を発行した人です。外骨の珍妙さは半端ないです。ぜひご一読を。

  • この記事を書いた人

yutoya

書肆北極点店主。本を紹介する人。本が好きです。

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