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書誌情報
・タイトル:『イラストで見る都市伝説の歴史』
・著者:アダム・オールサッチ・ボードマン(絵と文),ナカイサヤカ(訳)
・出版社:マール社
・発売日:2025/6/20
・ページ数:128頁目次
はじめに
近代以前
近代
20世紀中頃
ポストモダン期
メタモダン期
現代の都市伝説
都市伝説に関わる(現実の)人々
グロサリー(用語集)
もっと詳しく知りたい人向けの参考文献
もっと詳しく知りたい人向けの映像作品
索引
感想
近年、SNSでは真偽不明の情報や刺激的な噂が日々流れ込んおり、動画サイトでは毎日のように新しい陰謀論が生まれています。
そんな現代では都市伝説は現実世界を侵食し始めており、もはや誰もが無視できない存在になりつつあります。
実は人類が神話や伝説とは別に都市伝説を信じることには長い歴史があり、現代人特有の問題ではないのです。。
本書はその歴史を、ネッシーからスレンダーマンまで、かわいいイラストと共にコンパクトに紹介した書となります。
著者が丹念に拾い上げる都市伝説は、幽霊や怪異にとどまりません。
これらの噂は、人々を襲う様々な不安や、新しいテクノロジーなどといった社会的緊張の中で、人々が「もっともらしい説明」を求めた結果として生まれた物語でもあります。
ここに、現代を危機に陥れるフェイクニュースや陰謀論と通じる構造が見て取れ、こういった「正しい答えを求める」行為は今も昔も変わらないことがわかります。
唯一、現代と過去が違うのは、都市伝説の生成されるスピードと拡散の早さです。
テクノロジーが普遍化したことによって、新しい噂は毎日のように至るところで発生し、それは翌日には多くの人の目に触れます。
この異常なスピードは都市伝説にどのような変化をもたらしていくのか、少し怖さがあります。
あるいは、その変化はすでに表れているのかもしれません。
しかし本書の、見ているだけでも楽しい、かわいいイラストは、その怖さを和らげてくれます。
そして誇るべきことなのか、我が日本の都市伝説も数多く取り上げられており、なかなかの都市伝説大国なのかしれません。
本書は、都市伝説を「信じる」ための本ではありません。
むしろ、なぜ人は「それらしい物語」にひきつけられ、拡散してしまうのかを考える一冊です。
人は変わっているようで変わっていない、そんなことを改めて認識させてくれます。
おすすめの人
・ネット社会のフェイク情報に違和感を覚えている人
・怪談や都市伝説が好きな人