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『たとえば「自由」はリバティか 西洋の基礎概念とその翻訳語をめぐる6つの講義』

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書誌情報

・タイトル:『たとえば「自由」はリバティか 西洋の基礎概念とその翻訳語をめぐる6つの講義』
・著者:渡辺浩
・出版社:岩波書店
・発売日:2025/10/29
・ページ数:395頁

目次

開講にあたって
第1講 「お金に不自由しています」FREEDOM・LIBERTY
第2講 「武士の一分でござる」RIGHT
第3講 「正義省」はどこに LAW
第4講 「この村は、本性がいっぱいです」NATURE
第5講 「それは公用ですか」PUBLIC/PRIVATE
第6講 「キミも、いよいよ社会人だね」SOCIETY

講義を終えて

感想

たとえば「自由」はリバティか。

この挑発的なタイトルに、一気に引き込まれました。

言われてみれば、西洋で形成された概念を日本語に翻訳するのは簡単なことではありません。

それでは幕末・明治の人々は、どうやって「LIBERTY」や「SOCIETY」といった言葉を翻訳していったのでしょうか?

本書では、西洋で作られた、特に政治に関わる概念を6つ取り上げ、それぞれがどのような過程を経て現在の翻訳語となり、受容されていったか、そして「それは本当にその語の意味を表しているか」を講義形式で考えていきます。

本書はこれらの疑問に答えていくために、まず西洋における原語の概念を考え、様々な言語間で言葉を置き換えながらその意味をより具体的に探します。

さらに日本語で近い意味の語を様々に検証し、それらがどれくらい意味を訳せるか精査します。

そしてそれらの訳語は漢語なので、その語の中国や朝鮮半島での歴史を遡り、意味の層を堀り下げていきます。

本書中で引用される例文は、各国語それぞれの原典から幅広く採られ、多岐に渡ります。

これほど多言語・多文化もまたがる広範な検証は、著者の長年の研究蓄積と熱意なくしてはできません。

こうした精緻な作業から浮かび上がってくるのは、現在私たちがつかっている翻訳語が、決して原義を完全に再現しているわけではないことです。

そして、もしこれらの翻訳語に別の語が選ばれていたら、その後の思考の枠組みや政治的議論の方向性さえ変わっていたかもしれない。

そう考えると、概念の翻訳とはそれほど大きい影響力を持つ行為なのだとわかります。

多くの概念にまたがる内容ですが、発見の多い充実した書です。

おすすめの人

・思想や政治思想の受容史に興味のある人
・翻訳、日本語表現に興味のある人
・社会や政治を「言葉」から考え直したい人

あと一冊

ポイント

言葉の翻訳の難しさを違ったから角度から楽しむ本です。『たとえば「自由」はリバティか」と全く違った、イラストがふんだんに使われた書です。気楽に読んでみてください。

  • この記事を書いた人

yutoya

書肆北極点店主。本を紹介する人。本が好きです。一冊読んだら十冊読みたくなる、本がつながっていく感じも好きです。

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