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『世界の文字を楽しむ小事典』

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書誌情報

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・タイトル:『世界の文字を楽しむ小事典』
・著者:町田和彦(編)
・出版社:大修館書店
・発売日:2011/11/1
・ページ数:264頁

目次

まえがき
第1部 文字の世界へ
1.〈アイデンティティと文字〉文字を求めて
2.〈文字の伝播〉文字は言語に憑依して
3.〈文字の多様性〉さまざまな「文字」のかたち
4.〈文字の不思議〉文字にまつわる謎を探る
5.〈文字文化圏〉旅人たちの見た文字
6.〈ラテン文字のはなし〉発音と文字の一筋縄ではいかない関係
7.〈漢字のはなし〉最古の現役文字の歴史と未来
8.〈文字政策・文字改革〉時代・社会で変る文字
9.〈現代日本社会と文字〉多様化する文字環境
10.〈情報伝達と文字〉文字の危うさと力
第2部 世界の現役文字44

感想

先日読んだ「絶滅しそうな世界の文字」が面白かったので、10年前に読んだこの本を引っ張り出してきて再読しました。

本書は、10のテーマと44の世界の文字のガイドで成り立った、文字の世界の楽しさを伝えるガイドブックです。

「まえがき」を読むと、文字について学ぶには何学部に行けばいいのかわからないというエピソードが出てきます。

日本では文字そのものを研究する学問分野はないとのことです。

この話は残念ではありますが、一方で文字には本書に現れるような豊かな世界があり、文字を愛好する人は確実に存在し、文字が好きな人はいることも著者はしてきします。

本書はそんな人たちの道先案内人となることを目指しています。

比較的専門的な内容ですが、どれも分かりやすい文章で綴られているので気軽に読める一冊です。

再読して特に感じたのは、文字が単なる記号ではなく、社会や文化、歴史と深く結びついた「生きた存在」として描かれている点でした。

文字の誕生や変化の背景には、宗教や政治、技術革新といった人間社会のダイナミズムが常に影を落とします。

本書の第1部では、そうした広い視野から文字をとらえる視点が提示されます。

第2部では、普段触れることの少ない文字が次々と紹介され、その形の美しさや成り立ちの面白さに引き込まれます。

ラテン文字や漢字のような身近な文字でさえ、別角度から見ると新たな発見があり、文字の楽しさを再認識しました。

文字に興味を持ち始めた人にとっては格好の入り口であり、すでに関心を深めている人にとっては、視野を広げてくれる良質な案内書となるでしょう。

10年ぶりの再読でしたが、面白さは全く古くなっていませんでした。

おすすめの人

・文字に興味のある人

あと一冊

ポイント

少し古い本ですが、文字の歴史を楽しめる一冊です。そしていま気が付いたのですが、この本が「知の再発見双書」シリーズの通し番号1番だったのですね。このシリーズの本はどれも面白いです。

  • この記事を書いた人

yutoya

書肆北極点店主。本を紹介する人。本が好きです。一冊読んだら十冊読みたくなる、本がつながっていく感じも好きです。

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