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書誌情報
・タイトル:『〈幕府〉の発見 武家政権の常識を問う』
・著者:関幸彦
・出版社:講談社
・レーベル:講談社選書メチエ
・発売日:2025/10/16
・ページ数:201頁目次
はしがき
序章 「幕府」の何が問題なのか?
第一章 幕府・政府・覇府 『日本開化小史』の歴史観
第二章 「幕府」の発見 『読史余論』から『日本外史』へ
第三章 近代は武家をどう見たか 『国史眼』と南北朝問題
第四章 「鎌倉幕府」か、「東国政権」か 中世東国史の二つの見方
終章 「幕府」という常識を問う
あとがき
感想
幕府と朝廷の関係と言うと、私は無意識に「天皇から任命される形で将軍が全国を統治している」と考えていました。
しかし本書を読むと、それは自明の話ではなく、近代以降の論理を基に作られた政治的な産物だったということがわかります。
「幕府」とは、元々は漢語に由来し、「将軍出征中の軍政府」というほどの意味で、そんなに頻出する言葉ではなかったそうです。。
それが江戸時代後期くらいから用いられるようになり、明治に入ってから「武家の政治権力機構」という意味を付与されるようになり、私たちが知る歴史用語として定着していったのです。
著者は、この変化を単なる言葉の変遷ではなく、日本が近代国家へと移行する過程で必要とされた「政治の物語」として描き出します。
天皇の支配する国に、あってはならないもう一つの権力を、矛盾しない形で位置づけるために、「幕府」という概念は巧みに整えられました。
そこでは、武士は反逆者でも簒奪者でもなく、至尊をいただく体制の中に包摂された統治者として再定義されます。
幕府とは中世に自然発生した制度ではなく、近代が「発見」した日本的権力形態であり、同時に西洋との普遍性の象徴でもありました。
私たちは事実としての歴史を学んでいるようで、実は解釈の枠組みを受け取っているだけなのかもしれません。
本書は、そんな複雑な「幕府」を理解するための大きな助けとなります。
幕府が近代の発明だったという指摘にとどまらず、、それなら幕府って何なの?という確信まで踏み込む骨太の一冊です。
歴史の本質を知りたい方におすすめです。
おすすめの人
・日本史に興味のある人
・史学史、あるいは「歴史の語られ方」に関心のある人
・近代日本の成り立ちを知りたい人