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書誌情報
・タイトル:『ブックマッププラス』
・出版社:工作舎
・発売日:1996/6/1
・定価:1800円+税
・ページ数:313頁目次
1 地球感覚のデザイン
2 ガイアの科学
3 博物学の回廊
4 生命と形態
5 思考の冒険
6 サイ研究への道
7 科学史・精神史
8 文字のカレイドスコープ
9 プラネタリー・クラシクス
10 アジア精神圏の系譜
読書論・書物論「私の本棚」
書店人ドキュメント「私の棚組術」
感想
今日は感想ではなく、思い出話です。
私が学生の頃、本書と出会いました。
多くの人の協力の下で編まれた本書は、様々なテーマごとに本が選ばれ、さらにその本が互いに結びつき、どこまでも読み続けられるブックガイドとなっています。
たとえば、5-10-Bはテーマが「科学的愉快」で紹介されているのは、寺田寅彦や朝永振一郎の随筆で、それは7-9-Dに繋がってます。
そこに進んでみるとテーマは「日常性の科学」で、本は「動物は地震を予知する」とアニマル・ロコモーション」。
そして同じページには他のテーマがならんでいて、本の世界がどんどん広がっていくのです。
このように本書では本が繋がっていってどこまでも広がっていきます。
学生だった私はこのブックマップに心をときめかせました。
読みたい本が果てしなく広がっていく、と。
このブックマップを作るのにどれだけの手間がかかっているかと想像すると頭がクラクラします。
何よりこれほどの本を作るのに、どれくらい本と世界の知識が必要なのか…。
さすが工作舎さん、という本であります。
今の時代では、知識と知識がリンクすることはインターネットで当たり前に行われていますが、この情報がリンクしていく快感を、人の手で実現していることに感動の念を禁じえません。
また本書を今読むと、80,90年代的な時代の空気を強く感じることができます。
確かに私が若い頃通っていた、気合いの入っている本屋の棚ってこんな空気感でした。
何より本が挑発的でいかがわしいんですよね。
世紀末的空気が漂う一方、知がまだ輝いていて、人類の未来にまだ楽観的でいられた時代。
それがいい雰囲気を醸し出していて、とても懐かしく感じます。
さらに本書のデザインがとても凝っているのもいいです。
各ページにかなりの情報量が詰め込まれていますが、わかりやすさを失っていないのです。
この辺りもさすが工作舎さんだと感じます。
最近はなかなかここまで凝った本は珍しいですね。
と、ここまでつらつらと思い出を語ってきましたが、私にとっては懐かしさでいっぱいの本です。
自分の原点の一つと言えるかもしれません。
できれば、私もこの本の精神を受け継いで、本と本のつながりを紡いでいきたいと思います。