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『極端豪雨はなぜ毎年のように発生するのか』―豪雨発生を仕組みから読み解く

2026年9月12日

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※本記事の執筆には、生成AIを補助的に使用しています。

豪雨の正体を科学から読み解く

年を経るにつて、豪雨による被害が増えているように感じませんか?
この3カ月でも千葉や福井、名古屋、青森などを中心に日本各地で大きな被害を出しています。
「数十年に一度」とされる豪雨が、なぜ毎年のように各地を襲うのでしょうか。
本書は、積乱雲や前線、台風、線状降水帯が大雨をもたらす仕組みを基礎から解説し、そこに地球温暖化がどのような影響を与えているのかを検証します。
降雨を漠然と恐れるのではなく、その正体を科学の目で捉え、備えるための知識へ変えてくれる書です。

本書は、21世紀に日本で発生した豪雨災害を振り返りながら、雨雲が発達する条件と、豪雨が長時間続く仕組みを読み解く気象学の入門書です。
大気の不安定さ、前線や台風による水蒸気の供給、積乱雲が次々と生まれる線状降水帯などを、図や具体例を交えて説明します。
後半では、現実の気候と温暖化がなかった場合を比較する「イベント・アトリビューション」を紹介。
個々の豪雨をすべて温暖化のせいにするのではなく、直接の気象要因と、温暖化による雨量の上乗せを分けて考える、慎重で科学的な姿勢が特徴です。

著者の川瀬宏明氏は、気象庁気象研究所主任研究官で、博士(理学)・気象予報士です。
地球温暖化に伴う日本の豪雨・豪雪の将来予測を専門とし、気候モデルを用いた研究に従事。
本書では、その専門知識を一般読者向けに分かりやすく解説しています。

書誌情報

・タイトル:『極端豪雨はなぜ毎年のように発生するのか 気象のしくみを理解し、地球温暖化との関係をさぐる』
・著者:川瀬宏明
・出版社:化学同人
・レーベル:DOJIN選書
・発売日:2021/8/17
・ページ数:228頁

目次


まえがき
第1章 21世紀はじめに発生した豪雨を振り返る
第2章 豪雨はなぜ発生するのか?
第3章 豪雨をとらえる
第4章 進む地球温暖化
第5章 近年の豪雨は地球温暖化のせいなのか?
あとがきにかえて~将来の天気との付き合い方

感想

「温暖化のせい」と言い切らない誠実さ

近年の豪雨報道に接していると、私たちはつい、その原因を「地球温暖化」の一言で説明したくなります。
しかし本書は、個々の豪雨を安易に温暖化のせいだとは決めつけません。
前線の停滞、台風による水蒸気の供給、積乱雲の連続的な発生、さらに地形の影響など、豪雨を引き起こす直接的な要因は事例ごとに異なるからです。
まず、それぞれの豪雨がどのような仕組みで発生したのかを把握しなければ、温暖化がどの部分に、どの程度影響したのかも正確には見えてきません。

本書の慎重な姿勢は、温暖化と豪雨の関係を否定するものではありません。
むしろ、あらゆる豪雨を温暖化に直結させる単純な説明を退けることで、気温上昇による水蒸気量の増加が、豪雨の強度や発生確率をどれほど押し上げたのかを具体的に捉えようとしています。
一つひとつの現象の違いを丁寧に見極めることが、温暖化の影響を曖昧にするのではなく、より明確にするのです。
本書からは、科学とは早急に答えを決めることではなく、複数の要因を切り分けながら因果関係を確かめていくことなのだと教えられます。

なぜ「極端豪雨」なのか

本書のタイトルに使われている「極端豪雨」は、厳密な気象用語ではありません。
通常の範囲から大きく外れ、重大な災害を引き起こしうる雨を広く捉えるための言葉です。

この名称を使うことで、本書は「集中豪雨」や「線状降水帯」という特定の現象だけに対象を限定せず、前線による長雨、台風に伴ないはならない大雨、地形によって増幅される降雨などを一つの視野に収めています。
豪雨にはさまざまな成り立ちがあるからこそ、それらを「極端な雨」という大きな枠組みから考える必要があるのでしょう。

積乱雲から地球温暖化までをつなぐ

本書の構成は、雨が降る基礎的な仕組みから始まり、積乱雲、前線、台風、線状降水帯へと進みます。さらに豪雨をどう観測し、気象情報をどう読めばよいのかを確認したうえで、地球温暖化とイベント・アトリビューションの解説へと到達します。

基礎から最先端の研究手法までを無理なくつなぐ構成はバランスがよく、豪雨について一通り理解したい読者にとって、優れた入口になっています。

「毎年のように」という感覚を問い直す

タイトルにある「毎年のように」という言葉も、温暖化だけでは説明されません。
自然の気候には年ごとの変動があり、偶然、豪雨が続く時期もあります。
また、観測技術の発達やニュース、SNSの普及によって、遠く離れた地域の豪雨まで即座に知るようになったことも、豪雨が増えたという感覚に影響しています。

もちろん、これは豪雨の増加を情報環境だけの問題に還元するものではありません。
自然変動、情報の増加、そして温暖化による雨量の上乗せを分けて考えることで、私たちが感じている「異常さ」の正体をより正確に捉えようとしているのです。

刊行後も重みを増している一冊

本書は2021年の刊行ですが、その後も各地で記録的な大雨や線状降水帯が相次いでいます。
刊行から時間がたったことで古くなったというより、むしろ本書が提示した問いの重要性が増しているように感じます。

ただし、本書は避難方法やハザードマップの使い方を中心にした防災実用書ではありません。
具体的な行動を学ぶ本というより、豪雨が発生する仕組みと、温暖化との関係を正しく理解するための本です。
防災情報を有効に受け取るためにも、その背後で何が起きているのかを知る必要があります。
本書は、豪雨への恐怖を直接取り除くのではなく、その恐怖を理解可能なものへと変えてくれる一冊です。

おすすめの人

・豪雨や線状降水帯の仕組みを基礎から知りたい人
・地球温暖化と豪雨の関係を科学的に理解したい人

あと一冊

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ポイント

温暖化が進めば、雪はただ減っていくのでしょうか。本書と同じ著者が、気温や水蒸気、地域差から雪と温暖化の複雑な関係を解き明かします。単純な因果関係に飛びつかず、気候変動を科学的に考える姿勢をさらに深められる一冊です。

リンク

豪雨が発生する仕組みを理解すると、次に気になるのは、その雨がどのように災害へ変わり、私たちはどう備えればよいのかということでしょう。
豪雨の科学から、被害を左右する土地の条件、警報を届ける気象庁の役割までを一続きに考えるための3冊を選びました。
あわせて「豪雨災害をよく知るための3冊」もご覧ください。

  • この記事を書いた人

yutoya

書肆北極点店主。本を紹介する人。本が好きです。一冊読んだら十冊読みたくなる、本がつながっていく感じが好きです。

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