※本記事にはアフィリエイトリンクが含まれています。
※本記事の執筆には、生成AIを補助的に使用しています。
書誌情報
・タイトル:『異端カタリ派の歴史 十一世紀から十四世紀にいたる信仰、十字軍、審問』
・著者:ミシェル・ロクベール(著),武藤剛史(訳)
・出版社:講談社
・レーベル:講談社選書メチエ
・発売日:2016/11/11
・ページ数:768頁目次
訳者まえがき
序 カタリ派、十字軍、異端審問
第一部 二元論的異端の勃興
第一章 ボゴミル派からカタリ派へ
第二章 カタリ派社会とその教会
第三章 イノケンティウス三世――前代未聞の十字軍
第二部 十字軍
第四章 シモン・ド・モンフォールあるいは電撃戦争
第五章 城争奪戦
第六章 トゥールーズの孤立
第七章 アラゴン王ペドロ二世――勇み足
第八章 レモン六世の失脚
第九章 オクシタン奪還
第十章 王の十字軍
第三部 異端審問
第十一章 異端審問の誕生
第十二章 迫害と抵抗
第十三章 アヴィニョネの大虐殺
第十四章 モンセギュールの最後
第十五章 フェレールからベルナール・ド・コーへ
第十六章 伯爵、異端審問局、そして司教たち
第十七章 モンセギュール以後、各地の様子
第十八章 亡命の時代
第十九章 反乱と陰謀の時代
第二十章 最後の「良き人」たち、最後の火刑
感想
カタリ派の誕生から消滅まで、およそ3世紀にわたる歴史を描いたミシェル・クロベールの書。
本書の大きな特徴は、カタリ派の教義や民衆の生活を詳しく紹介するというより、その興亡を南仏を巡る政治と戦争の歴史の中に位置づけていることです。
南仏を巡る諸勢力と十字軍
13世紀初頭に始まったアルビジョア十字軍は、カトリック対カタリ派という宗教上の対立だけでは理解できません。
本書では、教皇庁、フランス王権、アラゴン王国、イングランド、プロヴァンス、南仏の諸侯、そして十字軍に参加した北フランスの領主や諸勢力など、様々な勢力の思惑が細かく描かれます。
誰がどの勢力と結び、戦況の変化によってその関係がどう動いていったのか。
戦役の推移を追うことで、カタリ派への弾圧が南フランスの政治秩序そのものを変えていく過程が見えてきます。
特に片方の勢力が相手を追い詰めても、その度に中心人物が死んでは形勢が入れ替わる攻防戦、そして最後に動く巨大戦力、読み応えのある地域紛争が描かれています。
十字軍が終わっても、カタリ派は消えなかった
軍事的な征服が進んでも、カタリ派の信仰はすぐには消えませんでした。
そこで重要になってくるのが異端審問です。
本書では、中世に成立したばかりの異端審問がどのような制度で、どのような手続きによって異端を探し出していったのかが詳しく解説されています。
十字軍による軍事的制圧から、異端審問による継続的な追及へ。
その変化をたどることで、カタリ派が長い時間をかけて追い詰められていったことが分かります。
カタリ派の興亡を三世紀の歴史から見る
本書を通してくるのは、一つの宗教運動の歴史だけではありません。
カタリ派を巡る対立を軸として、諸勢力がせめぎ合う南仏の政治世界、十字軍による征服、さらに異端審問が形づくられていく過程までがひとつながりの歴史として浮かび上がります。
戦争や政治史に多くの紙幅が割かれているため読みごたえはありますが、カタリ派の誕生から消滅までを、その時代の大きな動きとともに理解でき一冊です。
おすすめの人
・カタリ派の興亡を歴史の流れから理解したい人
・アルビジョア十字軍と南仏の政治史に興味がある人
・中世の異端と、異端審問がどのようなものだったか知りたい人