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書誌情報
・タイトル:『防衛産業の地政学』
・著者:小野圭司
・出版社:かんき出版
・発売日:2025/2/19
・ページ数:288頁目次
はじめに―防衛産業は地政学的であり続ける
第1章 世界の国防支出と防衛産業の概観
第2章 世界の防衛産業(Ⅰ)米国
第3章 世界の防衛産業(Ⅱ)欧州・韓国
第4章 世界の防衛産業(Ⅲ)ロシア・中国・その他
第5章 日本の防衛産業
第6章 防衛装備品の海外移転
第7章 防衛産業の新傾向と展望
おわりに
感想
ロシアのウクライナ侵攻、イスラエルのガザ侵攻など、国際的な先行きは不透明さを増しています。
その中で軍事が以前より存在感を大きくしているように感じます。
本書はその軍事の中でも、「防衛産業」に着目しています。
相手を攻撃するにも守るにも、軍隊を維持するにも装備品は不可欠です。
その装備品を製造する「産業」は今後の国際情勢を見通す上で大きな要素となるでしょう。
著者は、戦争・軍事の経済学、戦争経済思想を専門とされており、防衛省防衛研究所の主任研究官であらせられます。
防衛産業という観点から見ると、ロシアのウクライナ侵攻で各国の防衛産業の脆弱性が浮かび上がったと著者は言います。
戦闘が続くにつれて装備品の不足と、生産力が追い付いていないことが明らかになってきたのです。
これから防衛産業はどうなっていくのでしょうか?
本書の魅力には、わかりやすい国際比較があります。
第2章から5章まで、アメリカ、欧州、ロシア・中国・インド、そして日本と各国の防衛産業について解説しています。
各国の防衛産業の状況と、構成する各企業の詳細な説明は防衛産業がどのようなものかよく理解できます。
この項目を読むと、それぞれの国はそれぞれの事情があって、軍事大国アメリカですら苦労しながら防衛産業を維持しています。
一方、インドや韓国などは積極的に産業基盤を育成していることがわかります。
日本の状況はどうでしょうか?
こちらもなかなかに苦しい事情を抱えた中やっているようです。
また本書では新しい技術についても触れられています。
例えば無人機、AI、ロボット、宇宙、サイバーなどです。
これらはこれから伸びていく産業となるでしょう。
おすすめの人
・軍需産業、国際情勢に興味のある方