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書誌情報
・タイトル:『難しい本を読むためには』
・著者:山口尚
・出版社:筑摩書房
・レーベル:ちくまプリマ―新書
・発売日:2022/8/8
・ページ数:272頁目次
はじめに
Ⅰ原理編
第一章 キーセンテンスを見つける
第二章 文章全体の主張を捉える
第三章 グルグル回りで読み解く
Ⅱ方法編
第四章 前提と結論に腑分けする
第五章 話の流れを押さえる
第六章 その文章のどこが重要なのか?
第七章 具体例を挙げ、深く理解する
Ⅲ実践編
第八章 ほかの人の「読み」を聞く
第九章 読書会をやってみよう
おわりに
感想
記事として紹介している本の裏で、文章を書く際に参考にする本も読んでいるのですが、本書もそういった本の一つでした。
しかし、これはあまりにいい本で、単なる参考書として終わらせるのは惜しいと感じたので、紹介したいと思います。
本書は、誠実に「難しい本の読み方」を考えていく本です。
タイトルから創造するような読書のテクニックを並べるハウツー本ではありません。
「読むとはどういうことなのか」を根本から問い直し、さらに哲学への入口へも読者を導いてくれます。
考え抜かれた文章はとてもわかりやすく、ちくまプリマ―新書の「より若い読者にもわかりやすい表現で伝えていく」という理念にかなっています。
とりわけ印象に残ったのは、「理解することと賛成することは異なる」という指摘です。
私の悪い癖なのですが、つい自分の考えに合う箇所にばかり気をとられてしまい、他の重要な箇所を見逃してしまうことが往々にしてあります。
その結果、本全体の論理の流れを掴み損ねることも少なくありません。
しかし著者は、そうした読み方を戒めます。
探すべきは〈自分が賛成できる箇所〉ではなく、〈書き手が主張しようと努めている事柄〉であり、〈筋道立てて導こうとしている結論〉なのだ、と。
そのための手がかりとして提示されるのが、キーセンテンスを見つけること、文章全体の主張を捉えること、そして全体と部分を往復しながら構造をつかむことが原理として提示されます。
本書の後半では、これらの原理を実践する方法が提示され、さらに実践する場として読書会のやり方が紹介されます。
理論だけではなく、具体的なやり方、実践の場所が提示されるのは心強い。
本書を読み終わった時、難しい文章に対峙しても戸惑うことはなくなるでしょう。
難しい本を読むのに「必勝法」はなく「正攻法」しかないと主張する本書はとても誠実な本だと感じました。
また本書は読書論でありながら、引用される例文は、哲学の中でも親しみやすいものばかりで、 良質な「哲学」への入口になっていると感じました。
次には哲学書も読んでみたいと思わされました。
まずは本書を片手に、文章と自分とのあいだに循環関係を築き、難解な書物に挑戦してみましょう。
おすすめの人
・難解な本に何度も挫折してきた人