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書誌情報
・タイトル:『なぜ一流選手がPKを外すのか サッカーに学ぶ究極のプレッシャー心理学』
・著者:ゲイル・ヨルデット(著),福井久美子(訳),アーセン・ベンゲル(序文)
・出版社:文藝春秋
・発売日:2025/4/24
・ページ数:374頁目次
アーセン・ベンゲルによる序文
序章
第1章 襲いかかるプレッシャー
第2章 プレッシャーをコントロールせよ
第3章 プレッシャーにつけ込む
第4章 チームで団結してプレッシャーに立ち向かう
第5章 プレッシャー対策
第6章 プレッシャーのマネジメント
エピローグ
謝辞
注
参考文献
訳者あとがき
感想
私は野球は好きなのですが、サッカーにはあまり詳しくありません。
たまにサッカーを見ていて、なぜ世界のトップクラスの選手ですらPKを外してしまうのか、不思議でした。
その疑問に真正面から答えてくれるのが本書です。
スポーツ心理学とサッカーの関係を研究している著者は、世界屈指のPK研究家と呼ばれます。
この本は、サッカーにおけるペナルティキック(PK)をテーマに、なぜ実力や技術が高い選手でも失敗することがあるのかを「プレッシャー」「心理」に着目して分析するものです。
本書はタイトルに違わず、本当に最初から最後までPKの話です。
キーパー側の視点も、キッカーを妨害するという観点以外にはあまり出てこず、徹頭徹尾、PKキッカーの視点からPKのプレッシャーが語られます。
各章では、極限の緊張がもたらす影響、それをコントロールする方法、キーパーによる心理的揺さぶり、チームでの支援体制、効果的な練習方法、されにはリーダーが果たすべき役割までが語られます。
本書を通読して驚いたのは著者のPK研究の徹底ぶりで、何気ない動きまで詳細に渡って分析した結果は説得力に富みます。
印象に残ったのは以下の名将ベンゲルの2010年の言葉です。
「過去10〜15年は、フィジカルと戦術の進化の時代だった。しかしこの先10〜15年、間違いなくメンタルの時代に入っていく。(p297)」
しかし、著者はそうした進化の兆しはまだあまり見られないと指摘します。
2024年にベンゲルと話した際も、前進はしているがまだ課題は多いと言っていたそうです。
この問題はプロ野球やメジャーリーグの世界でも同じような状況があると感じます。
メンタル革命の先にあるサッカーや野球を見てみたいですね。
また、これからPKを見る時はキッカーのキック前の動きはもちろん、そこに至るまでの選手や監督の動きまで、楽しむことができそうです。
「失敗できない場面」で人はなぜ動揺するのか——その普遍的な問いを、PKという舞台を通じて見事に描いた一冊です。
サッカーファンやプレーヤーはもちろんですが、プレッシャーに対処する方法を知りたい人にもおすすめです。
また第6章はリーダーとして選手のプレッシャーに対してできることが語られ、とても示唆に富んでいます。
人を導く立場にある人にもおすすめです。
おすすめの人
・サッカーに興味のある方
・プレッシャーに対処する方法を知りたい方
・人を導く立場にある方